元ネタ Vol.3 USVAシャンブレーシャツ


久々の元ネタになります。今回はシャンブレーシャツ。POST O’ALLSは創立当初からシャツにも力を入れていましたが、プルオーバーのみのラインナップだった初期から紆余曲折を経て展開していきます。

#1201=左胸ウォッチポケットのみの1ポケット
#1202=5角型2ポケット
#1203=#1201のバンドカラー版
#1204=ARMY SHIRT
#1205=左胸ウォッチポケット+右胸パッチの非対称2ポケット

というようにここまではプルオーバーのみ。そして、1990年代の中頃に当時の代理店の要望で作り始めた初の前開きタイプがデビュー。それが、

#1206 No.6 Shirt=BIGYANKタイプのガチャポケ型

で、その後

#1207/1208=前開きオープンカラー+プリーツ入りドングリ型2ポケットで半袖/長袖
#1209=ZIPアップでスクエアボトムのプルオーバー
#1210=バンドカラーで前開き+フラップつき1ポケット

ときて、その次に出したのが今回紹介する#1211 The POST。このシャツがなぜ気になるかといえば、現在のPOST O’ALLSにつながるディテールが盛り沢山……。小径の貝ボタンや右プラケット裏の生成りのスレキ使い、シンプルなスリーブ・プラケットの処理、2ピースでシェイプされた袖など。POST O’ALLSの当時の“お初”がシンプルなデザインの中に盛り込まれ、いま見るとこれ以前のものとは違った、新たな仕上がりを目指しているのが分かります。


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シャンブレーシャツといえば、私自身も含めてPOST O’ALLS当初からの大きな課題の一つでもあります……ので、当たり前すぎるせいか、今まで特に意識したことはありません。でもこの前のS/S12の展示会では久々に#1211を出したので、ちょっと歴史を掘り起こしてみたくなりました。

#1211のデビューは2004 年。ロンドンでのショーを皮切りに、新たな気持ちでのブランドの再構築を始めるか始めないかの頃でした。出品するアイテムは絞り込み、今後の方向性を示しているものだけをミニマルにセレクト。記憶では、#1211はそのショーで最初に出したと思っていました。が、手元にある資料を調べているとしなやかに間違っていました。

#1211のデビューは1990年代の後半。その後ボディのフィットやカフスのデザインの変更などを経て、まったく新しい品番としたものをロンドンのショーでデビューさせた模様です。それは#12001 POST SHIRTという名称で、#1211との違いはフィットやカフスのデザインなど。思い出しましたが、平たく言えば#1206のボディに#1211のポケットを載せた感じでした。忘れていましたが、一時は気に入ってよく着ていました。


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どんどん思い出してきました。1990年代後半当時、新鮮さを求めてスリムでストレートな感じのまったく新しいパターンで作ったのがThe POST。そしてその新ボディから発展していったのが#1226 TROPICAL。これはサファリっぽいポプリン地と、ロールアップ用ストラップ付きの長袖の相性がいい感じでした。

もう何年か前に、リサーチの小林先輩と一緒にNAVAL RESEARCHというプロジェクトをやらせて頂いたことがあります。その際にプルオーバーで2ポケットのWW1タイプのUSNのシャンブレーシャツと、もうひとつ#1211タイプの1ポケットで前開きを展開、もしくは提案したような気がします……が、確かではありません。

あと何かで書いたような気もしますが、#1211はもともと自分ですごく気に入って着ていたビンテージの1940s頃のUSVA(United Stetes Veterans Administration=退役軍人局)のシャンブレーシャツをインスピレーションとしてデザインされました。


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このUSVAのシャツは着ること、物としての良さ、そして所有欲の3つを同時にビンテージに求めた場合、個人的に間違いなくベスト3に入ります。全体のデザインの良さもさることながら、控えめで良質な主張がほどよく利いて、着こなしのイメージが大きく膨らみます。これは自分的に良い服の大きなポイント。そして1ポケットで前開き。(古着にしては)短い着丈という組み合わせはビンテージのシャンブレーシャツではまずあり得ない。とりあえずなかなか出てきません。USVAものは今まで私も2枚しか見たことがなく、その2枚とも私が持っていました。

シャツの形がまだプルオーバー全盛だった時代(~1910、20s)には一般的だった1ポケットのワークシャツ。その頃のドレスシャツにはまだ胸ポケットのないものも多かったので、ワークシャツといえどもまだシンプルに1ポケットが多かったんですね。しかし前開きの時代に入るとめっきり、というか主に子供用を残して1ポケットのデザインは消滅していきました。そしてほぼ時を同じくしてドレスシャツにも胸に1ポケット付くのが一般的になると、差をつけるためかワークシャツは2ポケットがほとんどになってきます。


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というわけでこのUSVAのシャンブレー、その1940年代製らしからぬ1ポケットのデザインは、退役軍人用の支給品ということで作業を前提としていないからでしょう、と私的にライトに断定してみました。

ビンテージの世界では非常にレアな前開き+1ポケットのシャンブレーシャツ。しかしPOST O’ALLSにおいては、初期の#1210や#1211あたりの1ポケットモデルが今のC-POST6まで続くひとつの伝統となっていることを考えると、歴史はやはりほかけ舟、ということですか。(オオフチ)


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