その17/神宮前3丁目界隈、『福蘭』の「餃子」

ご本人もおっしゃってますが、今回は「まさか?」の
神宮前からアテをお届けします。
しかし餃子って、無条件でおいしそうに見えませんか?


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えーっ、珍しく神宮前3丁目! と驚くなかれ、味は折り紙付きだ。
建物も、もちろん小洒落てなんかいない、キラー通りの創成期。
東京オリンピックの頃からずっと変わらない佇まいのまま。
出てくるメニューも、どれだけ街が変わっても昔のままの美味しさ。
最初に食べたのは、もう25年くらい前。今でもよく覚えている。

さんざん世話になったイラストレーターの神田さんが鍋一杯に、
ここんちの餃子を買って来てくれた、もちろんビール付きで!
もちろん最初は鍋の中で渾然一体になった褐色の物体が、
いったい何なのか分からなかった、でも、恐る恐る口に運ぶと、
「うんまい!」。夢中で一気に食べまくり、ビールをぐわぁー。

『福蘭』の餃子は一瞬、高温の油で揚げた後、熱いスープに入れる。
そして、また、さっとスープをくぐらせて、皿の上に。
決してここ以外で見かけない餃子のおいしさは、説明不可能。
とにかく食べに走ってもらうしかない。断言する!
絶対に追加してしまうはずだ、しかもシュウマイもセットで。

あの日、餃子をごちそうしてくれた先輩はやがて青山を離れた。
茨城の山奥で自分を見つめ、イラストから純粋なアートへ。
そのまっただ中、不幸な冤罪で盗作騒ぎに巻き込まれてしまい、
何度も手首を切り、常磐線に飛び込み、鬱の海へ泳ぎ出した。
もう一度、街においでよ! そして、『福蘭』の餃子食べようよ、ねぇ!

いい奴ばかりが不幸になる世の中なんて、変わってしまえばいい。
なけなしの銭をポッケに入れて、『福蘭』に駆け込むと涙が出る。

餃子の湯気のむこうでゆらゆらする悲しいお話。食べ物の記憶って、お腹だけじゃなく、心も刺激しますね。(T.T.)


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