その24/野毛小路あたり、『フライ屋』の「串カツ」

港町ヨコハマ。観光地としてすっかりクリーンになった
この土地に、昔かたぎの“浜っ子”に愛されるお母さんの
関東流串カツ屋があります。またまた旨そなアテです。


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横浜市営地下鉄を降りて、右に向かうと「みなとみらい」、
左に向かうと「みなとかこ」……。野毛の路地に迷い込む。
由緒正しいジャズ喫茶、古本屋、タンメンで有名な店、
釣り船とリンクして天麩羅を食べさせる小料理屋、
老紳士がそっと消える新宿二丁目風な渋めのスナック……。
近くには伊勢佐木町、福富町、黄金町が控えている。

アメリカンで清潔なホテルとショッピングモール。
「みらい」には文化のかけらもないが、「かこ」には、
港町横浜を支えて来た、文化と歴史が目白押しだ。
野毛はその中でも別格、子供たちにはまだまだ早い。
そんな小路の片隅で、関東流の串カツを揚げる店。
最初は風呂屋の角に立つ屋台で、夫婦でスタート。
灯りはカーバイト、燃料はコークスだったという。

僕が最初にお邪魔した時は、もうお母さんひとり。
屋台をそのまま近くの酒屋の空きスペースに入れて、
ビールケースのテーブルで、みんなが和気あいあい。
ここの串カツは、関西の影響下ではないオリジナル。
オーダーすると、「タレは辛いの? 普通?」と聞かれる。
常連はもちろん、赤くて辛い、ここんちのタレを注文。

高温のラードで一瞬にして揚げ、辛いタレにどぼん。
そのまんま皿にのったフライの熱々を口にほおばる。
乾いた喉に、冷たいビールやチューハイを流し込む。
手が汚れたら、カウンターに装備されたタオルで拭く。
鯨も、鯵も、浅蜊も、レバーも、何でもうまい。
野菜類も豊富ですべて70円、ここの上限は100円台だ。
関西の串カツも旨いが、ここの味には凛とした核がある。

店に漂うしゃきっとした気、凛としたフライの味わい。
それは亡き夫の意志を守る水前寺清子似のお母さん、
彼女の魅力に起因している。彼女こそ“浜の女”だと思う。

実は数年前、屋台排除の風潮の中、店は消えかけていた。
しかし、多くの人たちの声を受けて、街が動いた。
酒屋さんが、自分の土地を店一軒分開けてくれたのだ。
屋台の延長にはカウンターが伸び、お刺身も登場。
ついでに、名無しの屋台から『フライ屋』になった。

さーて、そろそろ「にんにく」でも貰おうかな…。


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「みなとみらい」と「みなとかこ」かあ。どっちも気持ちよく共在すると、たぶん間違いなくハッピーなんでしょうね。(T.T.)


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