その30/浅草場外馬券場あたり、『正ちゃん』の「にこみ」

森さんの通念、「浅草は日本のパリ論」を語る上で
欠かせないのが、今日のアテ。
路上には「にこみ」のエスプリが漂うそうで……。


TTATE30A.JPG


浅草は日本のパリである、そう書いたのは「その14」だった。
まぁ、いろいろな賛否両論はあるだろうが、その意見に○か否か?
それでまぁ、友だちになれるかどうかが、まず100%決まる。
そんな強引なことを言ってるうちに、もう場外馬券場の人だかりだ。
このあたりは決して高級ではない! 揚げ立て天麩羅屋さんや、
モツではない牛スジの煮込み屋さんなどが林立している。
その中でもいちばんの賑わいを見せているのがここ、『正ちゃん』だ。

いちおう店内というものも存在しているのだが、客は外に集中。
場違いなパラソルなんぞの下で、にこみとホッピーが定番。
ちょいと小腹がすいた衆は、白メシかウドンの上ににこみ投入。
腹ごしらえしてから次のレースに臨むのが浅草の常識である。
ちなみに、このぶっかけ牛丼、おそらくは世界一うまいと思う。
のんべの大先輩、なぎらけんいち師匠は家に持ち帰って、
熱いご飯にかけて〆るのが常、持ち帰りは2人前からパック入り。

いったいここは公道なのか、私道なのか、とにかく道の上だ。
この感覚はカフェ・ド・フロールや、ドゥ・マーゴの感じ、
そう、サンジェルマン・デュプレのカフェ感覚にそっくり。
しかし、テ・オレもクロワッサンも、パスティスもない。
あるのは、ホッピー、サワー、にこみ、ゼンマイくらいだ。
テーブルには、ちゃんと「投票券」も常備されている。
しかし、唐辛子は深い赤で粗く、辛くなくて甘みがある。
そう、このあたりは小さなコリアンタウンでもあるのだ。


TTATE30B.JPG


『正ちゃん』がいちばん盛り上がるのは、競馬の日以外は大晦日。
なぜか初詣なのに浅草寺なんて、お寺に行ってしまう人ごみ。
ほんとの通は、その横のご本尊、浅草神社か裏の被官稲荷様だ。
そして、そーっと横抜けして、正ちゃんのある一角に抜ける。
いつもと違い煌煌と輝く正ちゃんには、一斗樽がドーン!
そこに吉原芸者のお姉さんや、たくさんの旦那衆から、
たくさんの稲穂が刺さっている、稲穂にはもちろん万札だ。

ふるまい酒の升酒を手に、みんなやっぱり牛すじのにこみ。
今年も一年よろしくお願いします、今年こそ万馬券を、ねっ!
いつもは夜通し働いてる三谷の兄さんたちも、やってくる。
アジア全域、バングラディシュ、アフリカのあちこち、
ルーマニアの白いお姉さん、コロンビアからのグラマー…。
こんなワールドワイドな年明けは、まず浅草だけだろう。
浅草はパリ、そろそろ少しは理解して貰えただろうか。
絶え間なく文化を生み出すパリの秘密はメランジェにある。


「浅草は日本のパリ論」。それを確認するにはパリは遠く、まずは浅草から攻めてみるといいでしょう。大晦日の浅草、ワンダーランドの気配があるなあ。(T.T)


T・T ディレクトリー   リンクフリー   プライバシーポリシー      運営会社