その35/横浜新石川あたり、『三三五』の「鶏チャーシュー」

人は五感を総動員して記憶をつくるようで、
味覚のメモリーには聴覚も関係していることを
モリさんは発見したのでした。


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五感とは不思議なものだ。触覚と味覚はいつも隣りあっている。
そればかりか、聴覚さえ、いつか味覚に影響を及ぼしてしまう。
渋谷警察裏の名店『すずらん』は、単に交換するのが面倒なのか、
熱狂的なファンなのか、たった一種類しかCDが存在しないのか、
なぜか一日中、いつ行ってもカーペンターズがかかっている。
そのせいで最近はカレンの声を聞くと、ラーメンが欲しくなる。

そして最近、ハワイアンの音や沖縄音階を聞いていたりすると、
無性に皿盛りのチャーシューやつけ麺がたべたくなってしまう。
理由は簡単、あざみ野駅近くの『三三五(ささご)』の影響に違いない。
地方の小都市にある民芸喫茶みたいな外観を持つ和風な佇まい。
しかし、ここで聞こえる音はハワイアン・スラックキー・ギター、
そして三線…。アロハとハイサイ、島が店の空間を満たしている。

かかっているのは『ちゅらまな』という女性二人をメインにした、
優しい癒しにあふれた、純和製のアイランド・ミュージック。
日本フラダンス界の妖精、上原マキちゃんと、石垣出身の歌姫。
弦楽器類は、そのテを弾いたら日本一! の山内アラニさん。
そこに個性的な三線弾きのゲレンさんが入って『ちゅらまな』
『三三五』はゲレンさんの命名らしいので、BGMは自然の成行き。
最近、セカンド・アルバムがリリースされたばかりだ。


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優しい弦の音と女性ヴォーカルを聞きながら、芋焼酎を飲む。
お通しにザーサイとタケノコを貰って、チャーシュー盛りを頼む。
豚のチャーシューも捨てがたいが、今日は鶏に決定し、もう一杯。
あくまでも食事の場所なので、早めに切り上げて、つけ麺!
プレーンな支那そばの、複雑なのにサッパリしたスープも恋しい。
いやいや、ほんとの白髪くらいに細い白髪葱が乗ったねぎ支那も、
ぴりぴりと山椒系の辛みが心地いい、辛い支那、も捨てがたい。

北海道の製麺所に細かい注文を出して作らせた麺が喉をくすぐる。
おなかに余裕があるときは、ここの丼ものも、みな絶妙にうまい。
実はマキちゃんや、アラニさんとは、半年くらい同じバンドだった。
小さなホールやハワイ風のカフェで、いくつもライブを演った。
思い出に浸っていると、つけ麺のボリュームと酔いに包まれ始める。
そんな僕を包む変則チューニングのギターや、スライド、ウクレレ。
ハワイアン=麺という条件反射、変わり行く我が身が恐ろしい……。

カレン=ラーメンというような記憶の符号、わかる気がする。カレンが聞いたらどう思うかは別にしてね。(T.T.)


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