その54/ムサコ平和通り商店街辺り、『みやこや』の「ハラミ」
ディープでアメイジングな
東京・武蔵小山商店街から、怪しげなホイスなる
酒が飲める店の肉好き羨望のアテを!
その昔、人に頼まれホッピーの応援歌をつくったことがある。
彼は、寺山修司の天井桟敷の中心メンバーの一人で、
寺山さんと一緒に何人かの(疑似)兄弟と下宿していた。
みんな「書を捨てて町に出」た家出組の少年たちで、
寺山さんの指示で、学生服を着て暮らしていたという。
その中の長男だった彼が「ホッピーでハッピー党」という、
私設ホッピー応援団に手弁当で参加、僕も歌をつくった。
新丸子のワンルームで録音された『ハッピーブルース』は、
娘の新社長就任と共に浸透しつつあったホッピーが、
いろんなメディアに登場するたびに、TVに流れていた。
そして、忘れられた電気ブランに代わりホッピーは大流行。
応援歌のほうは、いつのまにかもう流れなくなっていった。
「くそっ、ホッピーめ、一人で有名になりやがって!」
いぢけた私は、今でも忘れられているホイス党に転向した。
ガラナと共に、ちと桃色なイメージのホイスは未だ幻だ。
やれオットセイの肝が入っている、いや秘伝の苔だ、
しかも絶倫を誇るロシアのトナカイが食うヤツらしい。
健康酒の拡大イメージは、いつも男の願望をくすぐる。
実際は、漢方のトウヒ、チンピ、そして、南米からは、
コンズランゴウ、チラータという薬効成分が入り、
強壮作用がある或る種のリキュールとズブロッカが入る。
その他、数種の秘密成分と配合の謎を知るのは只一人、
ホイスの創案者、白金後藤商店の先代社長その人のみ。
さてさて、都内でも数少ないホイスが飲める店の中で、
カウンターの中の父と子の姓が後藤というウチがある。
そう! ホルモン道場『みやこや』の親子は後藤社長の直系、
東大哲学科卒業後、無銭旅行で世界を放浪した社長、
その弟さんと甥っ子こそが、『みやこや』の親子なんである。
兄が創り出した強壮健康酒、弟親子の絶倫ホルモン。
その美しき合体劇は、皿に溢れんばかりのモツを見よ。
「ハラミ」は芸術的なサシが入り、上ミノは餅肌に輝く。
アンダー千円で、このクオリティー、このボリューム!
そして、当然のことながらレバ刺しも比類なき旨さ。
ポン酢でさらりと頂くコラーゲンな牛スジ水炊きも、
さっぱりした煮込みも、ガツ刺しも、ハツモトも、
すべてが限度を超えた旨さと、涙、涙の大良心価格。
巷に輝く「牛一頭買い」なんぞの言葉に惑わされず、
肉好きは皆、まっすぐ武蔵小山に向かうべきだろう。
まずは『牛太郎』で「とんちゃん」を食し、『みやこや』へ。
そして食後には、巨大アーケードを冷やかして帰ろう。
詳細かつ図解入りのムサコ・アテ・ガイド。つくってみたいもんです。(T.T.)

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。