その56/美しが丘中央商店街あたり、『ラ・プレンド』の「こだわり卵のトルティーリャ」
アテめぐりは、まさに風まかせ。
いかにも、な下町にも行けば、死語化したハイソな
住宅街にも向う。そこが無敵に素敵……。
目映い夏の、いくらなんでも熱過ぎる陽射しの下。
ボーッと考えるのは、やっぱり海岸線への憧憬だろう。
サザンオールスターズ終焉の夏、横浜のバルで飲む。
しかし、海っていうのは、つくづく偉大なものだと思う。
海があるおかげで、湘南や江ノ島があるおかげで、
横浜は、埼玉や茨城にイメージで一線を画している。
横浜とは名前ばかりのたまプラーザに行く度に感じる。
しかし、不倫ものの元祖「金妻」でデビューした街は、
なかなかに味わい深い、ごく普通の地方の小都市だ。
特に中央商店街あたりのイナタさは地方もんにも優しい。
仙台でもないのに、極彩色の七夕飾りを提げてみたり、
テキサスでもないのに、祭りにはカントリー&ウェスタン。
「かどや」という名居酒屋やジモン氏お気に入りのお好み。
所々に渋い名店が点在する商店街に一軒のバルがある。
当初はランチもやるし、ピザもある洋風居酒屋だったが、
各種のタパスを取り揃えたバルに芸風を絞った結果、
『ラ・プレンド』は見事に大化けしてスペインの風が吹いた。
久々に夕方から自宅なんぞに帰ってみた宵の口には、
これまた川崎とは名ばかりの鷺沼から横浜市まで、
たった10分足らずの県境を越えて、バルの酔客になる。
中央商店街のビルの2階でイビサの港近くのバルを思う。
「トルティーリャ」はアンダー500円、これぞバルの価格設定。
これで、ちっちゃめの蝸牛なんぞが煮込んであったりしたら、
ほとんどそのまま本場のバルのムード、いい感じのラフさだ。
ただひとつ違うのは美しき横浜OLたちがたくさんいることや、
彼女たちが飲んでいるカシスなんたら、の醸し出す無国籍感。
でも、それはそれでいい、海がなくっても横浜なムードだ。
スペインのお気に入り、リオハあたりをもう一本行くかな。
よそんちでは丁寧に皿に並べられている生ハムの類い、
ハモン・イベリコ・ベジョーダもここでは皿に大盛りだ。
バルの〆に欠かせないパエリアはちっちゃめのMでもでかい。
海鮮類にチキン、あらゆるスープを吸い込んだ飯粒の旨さ。
パエリア鍋にくっついたお焦げをムシャぶりながら赤ワイン。
イビサの島で朦朧と過ごした30代半ばの夏を思い出す。
岩場にそのままセットされた巨大なPA、朝まで続くテクノ。
だんだん横浜OLさんたちがパフュームに見えた来た、やばい。
パフュームって、ねぇ。横浜OLさんを眺めて飲むのは、アテになるのかな? (T.T.)

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。