その67/池ノ上駅30秒あたり、『フランス屋』の「おまかせ弁当」

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弁当屋なのに、昼飯を買いに行くことはできない。
13時開店のはずなんだが、15時にはまだ棚は空っぽ。
空いてまだ数時間の6時に、サンドイッチ類は50円引き、
さらに8時半をまわると、半額という出血サービス。
会計は、自分の番が来るまで、椅子で静かに待つこと。
常時、4~5人が待っていて、30分待ちも珍しくない。

そして、極めつけはマスターのマイペースな盛りつけ。
どこまでもゆっくりと、丁寧に優しく盛りつけられていく。
だから、池ノ上・代沢界隈では、時間のない時には、
「ま、今日は定食屋でも行っとくか…」となり、
たっぷり時間があるときだけ、フランス屋に出かけていく。
それくらい、フランス屋は地元にとって特別な店だ。

博士みたいな、おじいちゃんがホールと盛りつけ担当。
おばあちゃんが夜更けの買い出しと、キッチン担当。
肉系、魚系、野菜の煮物まで、どれも全部おいしい。
そして、信じられないくらいのサービスにびっくり。
ショーケースの品数の多さに翻弄されながら、
650円のおまかせ弁当をオーダーしてみると、
白いごはんの上まで、マスターがおかずを盛り始める。


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おまかせの内容も、実は買う人に合わせられていて、
体育系男子には、これでもか! のがっつり肉系路線、
アラフォー女子には、優しい魚系と野菜の煮物とか…。
おじいちゃんの第一印象でおかずが決められていく。
このお弁当、はっきり言って惣菜が余ってしまう。
だから、まずは白飯の上に溢れた料理で軽く一杯。
この場合は、缶入りの発泡酒や缶チューハイあたり。
そうこうしているうちに、ご飯の全貌が見えたら、
そのまんまディナータイムに移行するのが気分だ。

ミクシーにコミュがあるほど愛される弁当屋。
書き出すとキリがないキャラ豊富なフランス屋は、
本当は誰にも教えたくない池ノ上の至宝なんだと、
静かに椅子に待つ客は、誰もが信じて疑わない。
8時半過ぎ、サンドイッチのバラエティパックは
たったの165円になってしまい、つい2個手に取る。
結局、次の日の朝も、昼もサンドイッチを食べ続け、
でも、夕方にはフランス屋を覗いてみたくなる。

店の外壁はいちおうトリコロールな痕跡が見える。
でも、料理は一切のフランスらしさを感じさせない。
フランス=西洋というおおらかな解釈、いいなぁ。


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