その88/学大東口商店街あたり、『もり山』の「ミックス弁当」
フライドチキンは最も有名なソウルフードだ。
年末になるとサンタの服を着込んでみたり、
阪神が負けると川に投げ込まれたりする、
恰幅のいい白人の姿から想像もできないが、
元々は貧しい黒人たちの知恵と工夫の賜物だ。
白人農場主たちが食べずに捨ててしまう、
手羽や、足の先っぽ、頸肉などを、
じっくりとディープフライして食べ易くする。

満州からの引揚者が多かった九州の街では、
餃子や、各種のもつ料理、から揚げなど、
大量の大蒜を使用した、どこか異国風の、
安く、腹持ちがいいスタミナ料理が多い。
特に鶏肉消費量日本一の大分県には、
から揚げの街と言われる中津市がある。
ケンタッキーフライドチキンが撤退した街、
街中に様々なから揚げ店が立ち並ぶという。
『もり山』はその中でもメジャーな有名店。
大分県内や福岡県内にたくさんの店がある。
で、何故か、東京進出第1号店が学芸大学。
ちょいとお洒落な東横線沿線に、から揚げ?
そんな九州人たちの危惧を見事に裏切り、
連日長い行列が続く大人気を博している。
ちょうどうまい具合に、店の前は公園。
揚げたて熱々のから揚げに食らいつける。
喉の奥から、鼻孔の奥辺りに広がっていく、
強烈な大蒜の香りが食欲の導線に火をつける。
この刺激と味を知ってしまったら最後、
もう某有名店のフライドチキンは食えない。
骨付きや骨なし、なんこつに頸肉、砂肝。
いろんな部位をテイクアウトして帰り、
缶チューハイや発泡酒でウチ飲みしても、
まだまだ居酒屋より安くつくし、旨い。
3種ミックスの弁当だって、ほか弁よりお得。

ただひとつだけ、重要なアドバイスがある。
テイクアウトしたら、徒歩かチャリで帰ろう。
もちろん、そのままかぶりつくのが一番。
そのまんま学芸大学駅から電車に乗ったり、
駒沢通りや目黒通りから、バスなどは禁物。
熱々のから揚げから増幅される大蒜の匂い、
九州のソウルフードのコテコテの匂いに、
車内中の冷たい視線を集めること必至だ。
まずい、思い出したらまた食べたくなった。

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。