BEAMSプレゼンツ! 名刺ステッカー誕生秘話(3)
第3話/金の匂いがしない!
(この“名刺ステッカー”についてお話しております。あなたに渡せるとうれしい……)
色校のチェックが終わると、いよいよ印刷。次の段階は、もう完成品の納品です。
だから、いよいよ不安になりました。
ひとつは納期。創刊日を8月4日に設定したのが、実は7月半ば。BEAMSの金田英治さんに相談を持ちかけたのも同じころでした。名刺代わりでつくろうという話になったので、僕としては創刊に間に合うのが理想だったわけです。でも、色校をチェックしたのは創刊1週間前……。
「う~ん、8月4日は無理。たぶん、それから10日後に納品かなあ」
そりゃそうですね。面倒な両面印刷にしちゃったし、正式な発注をしたわけでもない。完成品として手元に届けてもらえるなら、創刊日にこだわる理由はありません。
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(突然ですが、左はステッカー面のホワイトバーション案。当初は破線の枠なし。右もホワイトバーションの、台紙面。名刺色の濃いデザインでした。しかし、「でございます」って名刺もないですわね)
それはそれとして、不安はまだありました。費用です。
当然のことながら、この名刺ステッカーは僕が自腹を切るものです。見積もりも見せてもらいました。気軽に手渡すものとしては、1枚あたりの単価はけっこうな額でした。それはいいんです。とにかくここまで面倒を引き受けてくれた金田さんには、心から感謝しました。だって、ステッカーなんて思いつきもしなかったプロダクトなんだから。
「え~と、いいです。それは」
費用について問い合わせたときの、金田さんの返答です。
「だって、これでお金もらっちゃったらBEAMSはTONAO TIMESに何もしてないことになるし。それに、ウチはステッカー屋じゃないから」
その胸を貸して、泣くから。思わずそう言いかけてしまいました。ちょっとウソ。
でも、本当にうれしかった。相手は天下のBEAMSですよ。人に話したら、「マジ? そりゃスゴイね」ってみんな驚いてくれる。
対してこっちは旗揚げしたばかりの原始生物みたいなメディアで、普通なら提供も協賛もする価値なんて元素単位すらあり得ない。
「ま、いいじゃないですか」
いいのかな?
「稟議書、まだ書いてないけど」
うわっ、だいじょうぶなの?
「それより、次はTシャツつくらないですか?」
このエピソードは、お金について語ったものではありません。心意気の話です。僕の周囲にいる人々は、男気と女気にあふれています、そんな人々に支えられて今日の僕が在り、そしてTONAO TIMESを誕生させることができました。
創刊の翌日、金田さんからメールが届きました。
「これだけの人がかかわっていながら、あんたのメディアはちっとも金の匂いがしない」
うれしかったなあ。
名刺ステッカーは、お盆の真ん中に届きました。ちなみに、このステッカーにはBEMASの文字がどこにも入っていません。とってもクールでしょ?
(約1000枚の上がりは、こういうパッケージで送られてきました。こんなものまで披露しなくてもいいんですけどね)
そんなわけで一方的に友だちだと思い込んでいる金田英治さんには、その優れた手腕をちょっとだけお借りして、TONAO TIMESが稼げるメディアになるための知恵袋になってもらうことにしました。名称は、営業係。営業部長でって言ったんだけど、「ヒラで」だって。
しかし心強いなあ。さぞかし迷惑だと思うけど。でも、金の匂いのしないビジネスってカッコいいなあ。見てみたいなあ。
