9月に読みたい本 #3
小林節正さん/『森暮らしの家 全スタイル』
「山暮らし」を標榜している身として、いろんな情報を模索しているんだけど、自分の感覚にぴったり合う前例が少ない。
「山で暮らす」ってことになると、なぜかバンダナ巻いてみたり、そこら中にチロリアンテープあしらってみたり(笑)、みょうにぬるくて田舎臭い話ばかりになっちゃうでしょ。都会から逃げてママゴトやってるみたいな。ま、それはそれでいいんだけど。
子どものころ、終業式の翌日にはひとりで新幹線に乗って、ひと夏を三重の山中で過ごしてた。そのときの山歩きや沢遊びがオレの山暮らしの原体験。
山暮らしって、生活そのものなんだよね。バンダナ巻くことが目的じゃないわけ(笑)。でも、基本的に東京の子だから、そういう暮らしを客観視してたところもあった。
だから、いまやりたいと思っている山暮らしは、東京での生活と変わらない状態を保つというか、場所が変わっても自分の心構えや水平ポイントがぶれないことを大事にしたい。
そういう思いや、あるいは実験的試みで、「MOUNTAIN RESEARCH」をはじめたんだ。
けれど、参考になる情報がものの見事になかった。20冊以上の本を読んだけど、どれも違ってた。
そうして出会ったのが、この『森暮らしの家』。著者の田淵義雄さんも東京の人で、文章のそこここに都会育ちのちまっこさや偏屈さがにじんでる。テーゼとか規範を大事にする精神が根本にある。
写真で紹介されているのは、森に合った家づくりとか家具製作だったりするけど、とにかく文章がおもしろいです。自由を掲げる場所として山を選んだ意思に、大いに共感できるんだ。
小林節正さんは、「ジェネラルリサーチ」というファッションブランドを築いた、わかりやすく言えばデザイナー。13年続いた同ブランドの看板を惜しげもなく引き下げて、9月9日から「マウンテン リサーチ」をスタート。今後はあらゆる分野での「リサーチ」を行うそうです。暮らしの命題を、ファッションを軸にして提案している人。読書量、ものすごいですよ。
