ご来客#1 鎌田 貴さん(スポーツトレーナー)/第3話
優れた選手は、愚直なまでに素直
T.T. トレーニングは常にいっしょにやるんですか?
鎌田 全米ツアー中は、タイミングを見て渡米する感じ。
T.T. じゃ、カマセンがいないときは本人が自主的にトレーニングをする?
鎌田 彼女は、やると決めたら必ずやるから任せておける。いまは毎朝欠かさずコンディショニングをやってる。プレーをする日でも、目が覚めたら5~6分のウォーキングで体を温めて、10~12分のハイペースなランニングをこなして、十分なストレッチングをするね。1日のサイクルをしっかりコントロールしてますよ。何もやらないと気持ち悪いって言うようになったし。
T.T. そういう生真面目さに結果がついてくるんでしょうね。
鎌田 全米ツアーを回るようになって、朝一番で泊まっているホテルのジムに行くと、アニカ・ソレンスタムも汗を流してる。60歳くらいのおばちゃんの選手もトレッドミルとかバンバンこなしていて、すごくびっくりしたらしい。
T.T. そうか、ソレンスタムなんてトッププロも毎日トレーニングしてるんだ。
鎌田 プロのアスリートなら当たり前のことだから。
T.T. そうしてトッププレイヤーの努力を目の当たりにして、それからカマセンの指導で確実な効果が体感できてくれば、藍ちゃんも確信を持ってトレーニングの重要性を理解できるでしょう。
鎌田 体幹と下半身を強化したおかげで、疲れにくくなったね。それが集中力の維持につながってる。基礎が身についたから、今年からはバランス系のメニューを追加してインナーマッスルの強化もできるようになった。それもこれも彼女がコツコツ積み上げてきた成果ですよ。そう言えば、コアが強くなったから歌がうまくなったって驚いてた。以前よりずっと声が出る。それもトレーニングの成果だね。
T.T. 話を聞いていて思ったのは、指導を受ける選手の素直さというか愚直さというか、そういう資質を備えていることもトッププレイヤーの条件なんでしょうね。
鎌田 貴久もそうだね。
T.T. 出ました。ダーリンことトライアルライダーの藤波貴久選手。
鎌田 貴久は、僕と会う以前から実力を持っていて、しかも人並み以上の練習をして、さらにフィジカルトレーニングも取り入れた。チャンピオンを獲るための努力は絶対に惜しまない。いろんなことに挑戦する。その柔軟な姿勢、素直さが、あいつの優れたところ。
T.T. これはコンテンツでも書いたけど、貴久くんが世界チャンピオン獲得直後に参戦した日本国内の大会でひどく調子が悪かったとき、カマセンが一喝したんでしょ。
鎌田 何やってんだ? って一言ね(笑)。
T.T. 僕はその話が好きなのね。具体的なアドバイスなんかせず、まるで父親にキツい一発もらったような感じなのに、むしろ気持ちが落ち着く。そこには、他の誰も入り込めない信頼関係があると思うんですよ。絆と言ったほうが近いような関係がね。
鎌田 貴久とは長い付き合いだから。それからトライアルは、モータースポーツのなかでも特殊で、選手といっしょにコースを回れるから、いちばん近い場所でアドバイスできるのも互いの信頼関係を築ける要因になる。耳元で怒鳴ることもできるしね(笑)。
T.T. ゴルフの場合は?
鎌田 プレー中アドバイスするのは禁止。だから、ちょっとバランスを崩してるなあと感じたら、次のホールに移動するとき藍ちゃんの目に入りそうな場所で、大きく手を振って歩いたりしてる。
T.T. 歩き方で何かが変わるの?
鎌田 歩き方に内面が表れるからね。姿勢がいいときは成績もいい。
T.T. それに藍ちゃんは気づいてるのかな?
鎌田 気づいてもらわなくちゃ困るから、必死で歩いてますよ(笑)。
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