ご来客#1 鎌田 貴さん(スポーツトレーナー)/第4話

“一流”には人が集まってくる

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Photo:Okamura Masahiro


T.T.  ここで、藤波貴久選手についても聞きましょう。一言で言うと、彼はどんな選手ですか。
鎌田 前にも話したけど、まず素直。そして、世界への挑戦も10代半ばからはじめていたから、他のライダーより大人だったね。
T.T. それを本人が聞いたら得意げな顔をしそうだな。
鎌田 貴久は16歳から世界選手権に参戦して、4年目の1999年から2003年までずっとランキング2位だったでしょう。世界チャンピオンになるのに何が足りなかったかというと、非常に酷なことを言うようだけど責任感だった。それまではお父さんがいっしょについてくれていたりして、どこかで甘えを捨て切れなかったんだと思う。
T.T.  厳しい話だ。


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鎌田 2004年はそこを完全に振り切ったんだよね。自分のお金で僕を雇い、それからスタッフも自ら招いて、すべてを自分の責任とした。その結果、世界チャンピオンになった。その成長振りは凄かったね。
T.T.  カマセンもホンダとの専属契約が終了したこともあり、専属になれたのもタイミングとして功を奏したんだろうなあ。
鎌田 そういう本人の決意があると、周囲もそれに応えようという意識が高まる。実はそこがもっとも重要な部分で、強い選手ってひとりで戦ってるわけじゃないのね。勝たせたいって思う人が自然と集まってくる。人柄という言葉じゃ言い表せない目に見えない力が、最後には必要なんですよ。一流の選手はみんなそれを持っている。
T.T.  それは鍛えて身につくものじゃないですね。
鎌田 まさに天性の資質。
T.T.  藍ちゃんにもそれはある?
鎌田 あるね、間違いなく。藍ちゃんには、貴久や、それから事故で亡くなった加藤大治郎の話はよくする。興味を持って聞いてくれるね。


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T.T.  いまの話題からそれるかもしれないけど、選手にとってメンタルの強さは重要で、そのへんは藍ちゃんとどんなトレーニングをしてるんですか?
鎌田 いまは特に何もしていないです。専門外ということもあるしね。アニカに付いてるメンタルトレーナーにあれこれ聞いてるみたいだよ。
T.T.  カマセンとしては、メンタル方面での関係をどうしていこうと思ってるんですか。
鎌田 試合への臨み方については、いっしょに考えていきたい。けれど、信頼関係は時間をかけて築き上げるものだから、焦ってどうこうなるわけじゃない。それから、僕自身にゴルフのキャリアが少なくて、メンタル以前にゴルフのフィジカルを勉強しなくちゃいけないという課題もあるんです。ゴルフというスポーツを完全に理解していないのに、ある特定の局面でここはどうだあれはこうだと指示できないでしょ。

T.T.  ということは、スポーツトレーニングの現場では、競技別に対応していかなくちゃいけないってこと? マニュアルなんてものは存在しないの?
鎌田 理論的な基礎や応用の技術はあるけど、何にも通じるマニュアルなんてないよ。それに競技別というよりは個人別でその度に方法を考える。細かい調整は、こんなこと藍ちゃんに聞かせたら申し訳ないけど、勘に頼ってる。だから、書いて渡せるメニューなんてつくれない。できる限りいっしょにトレーニングして、そのなかで互いに理解を深めてゆく感じかな。
T.T.  いっしょに走ったりすると、藍ちゃんはなんて言いますか?
鎌田 このオヤジ何? だって。こんなに体力あるのはおかしいって言われた(笑)。
T.T.  いっしょに体を動かしてくれると、選手の信頼感も増すでしょ?
鎌田 僕が楽しいからね。動けるうちはいっしょにトレーニングする。でも、やっぱり貴久との関係で得た経験は大きいね。僕の自信にもなってる。それは間違いない。


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