ホノルルマラソン リアルリポート(10)

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苦痛ばかりじゃ申し訳ないけど……


「もう少し楽しそうに書け」と指摘する友人がいる。「そんなんじゃ誰もホノルルマラソンを走りたくなくなるぞ」とも言う。
そりゃそうだろうと思う。できれば僕だって、“疲労と激痛に襲われたけど、抜けるようなハワイの青空に元気をもらえました。イェイ、マハロ~”とか書きたい。

でも、無理なのだ。現実には誰も元気をくれないし、悪魔に絞られるヒザの激痛は疲労さえ吹き飛ばすほどで、アロハもマハロもあったもんじゃなかった。というか、フルマラソンは、この時点で5時間近くも足を動かし続けなきゃいけない行為ってのは、予想をはるかに越えて過酷だったのだ。

とは言え、だらだらと苦しみを語られても誰もよろこばない。なので、30キロ過ぎから40キロあたりまでは一気に割愛する。実際に僕の記憶も大したものが残っているわけじゃない。まだ十分に余力を残す上半身と、動かしたくとも動かない下半身のバランスの悪さにあがいた、押しつぶした灰色のスポンジみたいなイメージだけがその区間に収まっているだけだ。

往路とは異なるカハラの海側を抜け、コースはいよいよ最後の難関となるダイヤモンドヘッドの登り坂へ。その途中で、「40キロ」の看板を左側に確認した。さすがにここまで来ると、いよいよなんだと救われる気分になる。

やがて下り坂へ。足が勝手に転がろうとして、そのたびにヒザを絞める万力は加速度を得て、仕舞いには頭に血が上ってきた。いい加減にしろよ、くらいのセリフは口に出していたと思う。

ついに残り2キロを切り、ゴールゲートが設置されているカピオラニ公園の敷地内に入る。
早く終わらせたかった。この痛みから解放されたかった。

けれど、思い返せばただの1回もリタイヤすることは考えなかった。確かにヒザは限界を越えているように感じられたけど、それから逃れるにはゴールする以外にないと、どこかでそう信じきっていたんだろう。


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