麦の穂をゆらす風 (0011本目)

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パルムドール受賞作

「大地を鳴らし、巨木を根こそぎ揺さぶる感情の大きな竜巻を引き起こす」

と、いきなりおどろおどろしいコトバで大上段から切り出すと、「何を言っちゃってるんですか?」と、つっこまれそうだが、ケン・ローチの新作『麦の穂をゆらす風』は、そんな強烈な感情のカタルシスを醸成する作品だった。

物語の舞台は1920年代のアイルランド。イギリス軍の占領と弾圧に抵抗する当地の若者を描く。中心をなすのはデミアン(キリアン・マーフィー)とその兄テディ(ポードレリック・ディレーニー)。アイルランド独立の誓いを胸にイギリス軍への抵抗を指揮するが、やがて袂を分かち、図らずも独立戦争から内戦へと進展する悲劇のスパイラルを降下するアイルランドそのものを象徴する運命をたどることになる。

ケン・ローチはその一連を、『リフ・ラフ』や『Sweet Sixteen』でも見せた、外科医のような正確さと冷静さで我われの前に厳然と提示する。そこには使い古されたクリシェもなければ、甘ったるい予定調和も、見え透いた計算もない。しかしそれが逆に重量をもって、見るものの内面にドッシリと響き、強い感情を引き起こす。その「感情」は感動などという浅薄なコトバではくくりきれない大きな何かだ。

世界3大映画祭の中でも作品の質と、演出の豪華絢爛さで群を抜くカンヌ。毎年5月に行われるこの映画祭で『麦の穂をゆらす風』は、ウォン・カーウァイを長とする審査員団の全会一致を得て、最高の栄誉であるパルムドールを受賞した。カンヌでの上映後は10分以上も観客の拍手が鳴り止まなかったというが、それも納得の一作。それはもうこう宣言してしまっても過言ではないはずだ。

「世界の映画史に残る大傑作!」
と、またもや大上段に出てしまったが、ぜひとも映画館で観てほしいと思います、はい。

ちなみに、御年70歳のケン・ローチ大先生。現在は早くも新作に取り掛かっているとのことなので、次回作の時には1000本ノックも300本くらいにはなっているのかなぁ。先は長いなぁ。

11月18日(土)よりシネカノン有楽町、渋谷シネ・アミューズほかにてロードショー
公式ホームページ:http://www.muginoho.jp/


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