不都合な真実 (0012本目)
世界一受けたい授業
今回の作品は『不都合な真実』。環境破壊と地球温暖化をテーマにしたドキュメンタリー作品だ。マイケル・ムーア監督の『ボーリング・フォー・コロンバイン』に始まったドキュメンタリー隆盛の流れは、その後も『スーパーサイズ・ミー』や『華氏911』などの良作を世に送り出したこともあり、少なからぬ期待を胸に試写会場へ。
この場を借りて告白すればこの『不都合な真実』についての知識は皆無だったのだけれど、試写会場に着いてビックリ。ほぼ満席で、入場待ちの列まであったのだ。それだけ期待値が高いのかな? そんなことを思いながら待っているあいだに、非常用ののパイプ椅子が設置されてなんとか中へ。
映画がはじまると最初に登場したのがアル・ゴア。そう、誰あろう前回のアメリカ大統領選挙で現大統領のブッシュと争ったあの人である。そのゴアが環境問題と地球温暖化についてのレクチャーを打つシーンで幕を開ける。
ほぉー、これを契機に問題の真相に切り込んで行くんだろうなぁと漠然とながめていたのだけれど、待てど暮らせどスクリーンに登場するのはゴアのみ。まさにゴアの連続。そして映画も3分の1あたりまで来たところでようやくすべてを了解した。この映画は、地球温暖化についてのドキュメンタリーではなく、地球温暖化問題に取り組むゴアについてのドキュメンタリーだったのだ。
「へっ?」
ちょっと拍子抜けしたのも確かだが、家に帰って映画ライターのネタ帳(!?)サイトwww.rottentomatoes.comで調べてみると、アメリカメディアのこの映画に対する評価はおおむね高い。ゴアが「主人公」であることに少なからず違和感を覚えながらも、環境問題という地球規模の問題に取り組むアプローチを評価しているのだ。
Mind-boggling(見るものを圧倒する)、Highly persuasive(説得力溢れる)、Impassioned moral drive(情熱的な道徳的活動)など文字通り賞賛のコトバが並ぶ。しかも、Los Angeles Timesなどご意見番ともいえるメディアがプッシュしているのだ。
これはスゴイ。なかなかあることじゃない。そしてもしこの稀有な状況から引き出せる結論があるとすれば、それはこういうことではないかと思う。
「この映画は一見の価値がある」
いや、そんなありきたりのことではない。まぁこれだけの評価が集まっているのだからそれもそうなのだろうが、僕が受けた印象はもっと深刻だ。
「アメリカメディアは地球温暖化の問題にウトすぎる」
そう、確かにゴアの主張は多角的・建設的に丹念に練られたもので、説得力という重しも備えてはいる。しかし同時に、我われ日本人にとってはNHKなどのドキュメンタリー番組で頻繁に特集されたおなじみの内容が多いのも確か。だから、ちょっとイジワルな気持ちが働いて「そんな調子だから君たちアメリカは京都議定書にサインしないじゃないの」と皮肉のひとつやふたつが口をついて出そうになる。
しかし、ゴアの講義自体はユーモアに富んでいてなかなかあきさせない構成であったのも事実。僕が通ったW大学の教授よりはるかに魅力的だった。そこで考えついた、この映画を要約するならばこのタイトルしかないと。
『世界一受けたい授業:アル・ゴア編』。
2007年1月20日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかでロードショー
公式ホームページ:http://www.futsugou.jp/

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。