007/カジノ・ロワイヤル (0009本目)
「批評はくれぐれも……」
前作まで007を務めたピアース・ブロズナンに替わる6代目ジェームス・ボンド選び。噂が噂を呼び、ファン、メディアをいろいろと楽しませ、また騒がせたが、昨年10月に待望の次期007が発表された。
「ダニエル・クレイグ!」
その名が正式発表されたときの反応は全世界一様だった。
「どこの、どなたですか?」
大袈裟ではなく、実際にその名前を聞いて誰のことだか一発で了解できた人は少なく、大半は頭を悩ませた。写真を見てようやく、「おー、あのー、えっーと出てたよね、あの映画、なんだっけ?」。そんな感じだった。
なかには「それって歌手じゃない?」っていう人もいた。歌手? そう言われてしばしフリーズしてしまったが、脳みそを絞ってようやくわかった。
それはクレイグ・デイビッドでしょ。ロンドンのクラブシーンを席巻した2ステップというサウンドを瞬く間に世に知らしめたあの人。みなさん憶えてます? 同じイギリス人だし、クレイグつながりで無理もない勘違いだけれど、正解からはほど遠かった。
しかしあれから1年と少し。アストン・マーティンDBSのボンドカー決定から、撮影スタジオの大火事までいろいろと話題を提供し続け、それとともに自然と期待のベクトルも上向いてきた。
そんな中、12月の『007/カジノ・ロワイヤル』日本公開に先駆けて、新宿で行われたのが、21分にわたる「特別映像」の上映だ。なんでも日本のみの計らいだそうで、これに行ってきました。
初公開映像ということもあって会場のセキュリティーがものものしい。当然、録音・録画機能のある機器の持ち込みは厳禁で、持込みカバンのチェックから金属探知機によるボディチェックまである。その様相はまるで国際線の出発ロビーのようだ。ターバンなんて頭に巻いて登場したら、録音機器なんか持ってなくてもうるさく問い詰められそうになる雰囲気だ。
なにはともあれ、大事なく会場に入場。開始予定よりもちょっと早めに会場に着いたのだが、その待ち時間、会場で繰り返されていたアナウンスがとても気になった。
「今回の特別映像は完成品ではないので批評はくれぐれもなさらぬように」
しかも同じアナウンスが1度や2度ではなく、延々と繰り返されたのだ。多くの人は「一度でわかります」と思ったことだろう。と同時に「プレビューだけでネガティブな批評をされては困るんです、私たちも」との宣伝側の気持ちも大いに理解できる。
あれは何年前だったか?『ディ・アフター・トゥモロー』の特別映像の上映に赴いたとき、その映像の中に出てきた東京と思しきシーンのテロップに腰を抜かした。と言うのも、そこにはこうあったのだ。
「Shinguku」
いやいや、それをいうならShinjukuでしょ?
そう、この例を見ても分かるとおり特別映像は完成品ではないのだ。地名の単純な間違いもあれば、クリエイティブの大幅な変更だって行われる。なので「批評はくれぐれも……」は正しい、そう思った。
2006年12月1日公開
公式ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/casinoroyale/

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。