シャーロットのおくりもの (0015本目)
裏切りのダコタ
今回の映画は『シャーロットのおくりもの』。
主演は、巧いを通りこしてなにやら不気味な感さえある“天才子役”、ダコタ・ファニング。そのダコタ・ファニングが子ブタと向き合って芝生に座り込んでいるこの映画のポスターを、通勤途中や雑誌で見かけたことがある人も多いだろう。
この映画、公開がクリスマス直前(正確には1日前)で、タイトルにある「おくりもの」の文字。そしてなによりもダコタ・ファニング主演ということで、映画に関してはちょっとした「一家言あり」という人であれば、直感的に「どこかあやしい」と感じるはず。『ラブ・アクチュアリー』のように、クリスマスシーズンをネタに泣かそうとするワナがあるんじゃないか、と。
さらに人を疑心暗鬼にさせるのが、ダコタ・ファニングのとなりに座っている子ブタ、ウィルバーだ。この子ブタ、なにを隠そうコトバをしゃべる。こうなると『ベイブ』の焼き直し? そう思われても仕方ない。
しかしプレス資料によると、原作は1952年発表の古典とも言える作品で、これまで全世界で4500万部を売り上げたベストセラー。50年以上の時が経過してはいるが、あれだけの話題とセンセーションを巻き起こした『ダ・ヴィンチ・コード』の販売部数が一説には5000万部というのだから、この数字はそれに匹敵する。それだけ国境・言語を越えて多くの人々に支持されてきた証拠だろう。
そんな古典にもかかわらず不勉強な僕は、この映画の試写を観るまでてっきりダコタ・ファニングがシャーロットという名の役を演じていると信じて疑わなかった(すみません……)。そのシャーロットがなにがしかの奇跡を起こして感動的な結末を迎える……
しかし実際にはベーコンとなって食卓を飾る運命(!?)を背負ったウィルバーを助けるクモの名前だったのだ。でも僕が驚いたのは「シャーロットが実はクモだった」ということではない。それもそうだが、もっと驚いたのは別の事実だ。
シャーロットがまったくもって可愛くない。
というかちょっとリアリティありすぎなのだ。どっから見てもクモ。無数の目が不気味に頭部を覆い、全身を包むあのウブ毛みたいな繊毛までも詳細に再現されている。クモ嫌いの人であれば、シャーロットがスクリーンいっぱいに登場した瞬間卒倒してしまうのではないか。普通、この手の家族向けクリスマス映画では、一事が万事、現実離れした可愛さに仕立てられ、なるべく観客のリーチを広げようとする意図が垣間見えるものだが、この映画はその逆をいっている。さらには「死」など、このジャンルではタブーともいえるテーマにもストレートに取り組んでいる。
昨今の流れとは一線を画す感があるけれど、しかしこれこそが作者の意図なのだろうと思った。ファンシーにしないことで、原作が持つメッセージを小細工なしに伝える。ちなみに、ストーリーの詳細は他に譲りますが、「ダコタ・ファニング+クリスマス=ありがちなお涙ちょうだい映画」という当初の疑惑は見事に裏切られました。
12月23日(祝)、全国一斉ロードショー
公式サイト:http://www.charlotte-movie.jp/site/index.php

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。