Loose Change (0019本目)

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一線を越えない理性

今日の試写会場は、なんと自宅!
というのも、今回は「近日公開」というのではなくて、「Google Video」などインターネットを通じて全世界へとその浸透力を急速に強めている作品なのだ。

タイトルは『Loose Change』。ご存知のむきもあるかと思うが、2001年のアメリカ同時多発テロはアルカーイダの仕業ではなく、実はアメリカ政府自身が入念に計画した、自作自演の茶番であったという仮説のもとにつくられたドキュメンタリー映画だ。

基本の構成はといえば、同時多発テロを基軸に時系列をさかのぼって検証することにより、テロ以前にはお互い何の連関性もなく個々の点としてしか認識されていなかった数々の出来事が、線を結び、はたまたひとつの絵(アメリカ政府の自作自演という絵)を描くというストーリーだ。なかなか意欲的な作品なのだが、これを見てまず思ったことといえばこれだ。

それって、ベルクソン(注:19世紀のフランス哲学者)が説いた「過去の回顧的再構築」ってやつの典型でしょ?

なんて、突如コムズカシイことをはじめても、この場の趣旨に合わないので割愛するとして、映画自体は制作者の仮説を信じるか否かは別に、広範な情報収集とビートの利いた編集で大いに興味深いものに仕上がっていた。

その『Loose Change』のワンシーン。「9・11はアルカーイダの仕業であり、アメリカ政府は予見すらできなかった」という公式見解に疑問を投げかけた大学教授が、アメリカの主要ネットワーク局Foxの番組に登場する。

Foxといえば、中立を旗印にすべきメディアの一端でありながら、9・11後、愛国的な姿勢を前面に出して視聴率を稼ぎまくったキー局だ。当然、この大学教授を番組に「ゲスト」として呼んだものの、その一言一句にはらわたが煮えくりかえって仕様がない。そのやりとりは、たとえばこんな感じだ。

Foxキャスター:「あんたみたいな、無教養な人間が教職についてるなんて驚きだよ。恥ずかしくないのか!」

大学教授:「何をいうんだ、それこそあんたみたいな右翼なヤツがキャスターをしてるFoxのほうがヤバイだろ!」

Foxキャスター:「なんだと? お前みたいに不勉強なヤツには言われないぞ!」

某大学教授:「そっちだろ、不勉強なのは。科学的に物事を検証できないアホんだらがっ!」

およそ大のオトナがするやりとり(しかも公共の電波を使って)とは思えないが、と同時に、当の本人たちがかろうじて、頭のほんの片隅で、正気を保とうとしている努力も垣間見える。では、その証拠とはなにか?

決して放送禁止用語を口にしない。

そうなのだ。一見簡単なことのようにも思えるかもしれないが、これほど議論(口論?)がヒートアップすれば、FワードやCワードがひとつやふたつ、口をついて出てくるのが常だが、そこは理性が抑制するのか、一線を越えない努力をしていることが手に取るように分かる。まぁ、その禁じられたコトバを発した時点で、テレビ界をしばらく放免になるくらいの代償をともなうのだから、当たり前といえば当たり前なのだが、そのいじらしさはある意味ほほえましくもある。

言いたいけど、言えない。

コマーシャルに入った瞬間、そのコトバを思いっきり叫んでいただろうことは間違いない。

公式サイト:www.loosechange911.com


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