グラストンベリー (0030本目)
農夫の音楽的権限
生みの苦しみ……。
というのではなく、ただ単にいろいろなことに奔走していたため試写会に行けなかったのですが、ようやく到達した新たな金字塔。そう、試写会1000本ノック、30本目!
先は長いぞー。
なにはともあれ、今回の映画は『グラストンベリー』。広く知られているとおり、毎年苗場で行われるフジロックフェスティバルの原型となったイギリスのグラストンベリー・フェスティバルを撮ったドキュメンタリー作品だ。
1970年に片田舎の農場を舞台に始まって以来、常に拡大、進化、変遷を遂げ、今ではイギリス音楽史で重要な地位を占めるフェスとなった。今年も、ビョーク、アークティックモンキーズがヘッドライナーを務めるなど、毎回そのラインナップはFar Eastに住むロック好き小市民には垂涎もの。グラストンベリーとは、この映画のタグラインが高らかに宣言するよう、まさに「ロックの神々が降り立つ聖地」なのだ。
監督は『No Future: A Sex Pistols Film』を撮ったジュリアン・テンプル。グラストンベリー黎明期から現在に至るまでの映像(プロ、アマ問わず)を収集・編集して、2時間あまりの映像コラージュに仕上げた。
フェスのドキュメンタリーだけあって、数多くのバンドが登場する。レディオヘッド、モリッシー、デヴィッド・ボウイ、ブラー、ケミカルブラザーズ、パルプなどそうそうたる面々だが、この映画の主役は決してこれらのミュージシャンではない。では誰か? その答えは……。
農夫。
へっ? そう思うむきもあるかもしれない。しかし、農夫と言ってもただの農夫ではないのだ。じゃあ、どんな農夫なのかと言えば、こんな農夫だ。
牛と会話できる。
いや、それはウソです。そんなわけがない。実は……。
超能力で牛を宙に持ち上げることができる。
いや、それもウソです。
その農夫の名前はマイケル・イーヴィス。自身の農地を解放し、一大行事となったグラストンベリー・フェスティバルを始めたその人なのである。ほら、単なる農夫じゃないでしょ。もっとも日本ではあまりなじみがないが平たく言えばフジでいうところのスマッシュ日高社長だ。そのイーヴィスが主催者としての理想、グラストンベリーにも影響を少なからず与えたイギリスの政治・社会事情について語る。そのイーヴィスがさまざまに語る映像を見ていてひとつの疑問が湧いた。
果たして彼は出演アーティストの選定にどれだけ関与しているのだろう?
というのも、日本版グラストンベリーたるフジの場合、主催者の思いが強く反映されているのか、「今」の大物というよりも、「以前」の大物がヘッドライナーを務める傾向にあるように思えるからだ。
2年ほど前だったか、そのフジに赴いたとき、ヘッドライナーのうち一組がニュー・オーダーだった。僕自身ニュー・オーダーは嫌いではないが、「ちょっとオジさん過ぎないか?」、それが正直な感想だった。そしてやはり歳月の押し寄せる波には逆らえないのか、ステージに登場したメンバーは、総じてオジさんだった。しかもものすごくオジさんだった。パフォーマンス中「ヘイ!」とか叫んで、拳を天空に突き上げジャンプしてたけど、地上2センチもジャンプしてなかったもんなー。
今年は、キュアー、ビースティーボーイズにケミカルブラザーズがヘッドライナー。ケミカルがいちばん若いってなんか違わないか? そう思うのは僕だけだろうか?
なにはともあれフジまであと1ヶ月ちょっと。フジの予習にいかがでしょう?
6月30日(土)、渋谷Q-AXシネマほか全国順次ロードショー
公式ホームページ:http://www.glastonbury.jp/

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。