シッコ (0033本目)

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医療保険制度に勝る自然治癒力


『ゴッドファーザー』や『グッドフェローズ』など、マフィアものをこよなく愛する人々のall-time favouritesに必ずといってよいほど登場するであろうもうひとつの名作がブライアン・デ・パルマの『スカーフェイス』。
そう、泣く子も黙るアル・パチーノが主演した映画だが、題を訳せば「顔(face)に傷跡(scar)のある男」。傷は男の勲章などといったりもするが、実は僕も顔に傷のある男なのです。

と言ってもアゴに小さくだけれど、自分でも忘れていた「顔に傷を持つ(?)」事実。それを思い出させてくれたのが、上記の『スカーフェイス』……ではなく、もうすぐ公開の『シッコ』。
『ボーリング・フォー・コロンバイン』でアメリカの銃問題を、『華氏911』でアメリカ同時多発テロを取り上げたマイケル・ムーアが、この映画でアメリカの医療保険問題を斬る。

自他ともに認める超大国のアメリカだが、先進国で唯一国民健康保険制度が存在しないため、多くの人々が無保険を理由に必要な治療を受けられずこの世を去っていく。また保険に加入していたとしても、治療費が払えずに病院から放り出されたり、診察を受けられない人が後を絶たない。

「それはいくらなんでもおかしいだろう?」

そう立ち上がるマイケル・ムーアがおとなりのカナダにはじまり、イギリス、フランス、キューバへと比較調査に乗り出す。その行く先々で彼を待ちかまえていたのは、アメリカと正対する驚愕の事実。どこの国も国民健康保険制度を完備しており、無料または最低限の支出で高レベルの医療を受けられるのだ。

実は何を隠そう、僕もイギリスの医療保険のお世話になったひとり。学生時代の一時期をロンドンで過ごしたのだが、友人と飲んだ後の自転車での帰り道。カーブを曲がろうとしてバランスを崩し、ぐしゃっと地面に倒れこんだ。顎を痛打し、文字通りぱっくりと割れてしまったのだ。大した痛みはなかったものの、出血が半端じゃなかった。家までは自転車で15分は最低かかる。この緊急事態、あなたならどうします?

1.救急車を呼んで病院に行く。
2.タクシーに乗ってとりあえず家に帰る。
3.流れる血を押さえつつ自転車を飛ばして家に帰る。

僕の場合、さすがに救急車を要するほどの傷ではなかったので2番が妥当なはずだが、なぜだか自転車を抱き起こすと高速でペダルを踏み始めた。お酒を飲んでいたのでそれだけでもかなりの血流があったのに、しっかり運動しちゃっているため家に向かうあいだまったくもって血が止まらない。そしてうちに帰るとさらなる驚愕の事実。

「救急箱がない!」

応急処置ができないじゃないか!
しかし、もはや未明だったので同居人を起こすわけにもいかないため、まずは傷口を洗おうと止血のためトイレットペーパーを顔に巻きつけ、仕上げに傷口が閉じるよう顔面を縦断するようにガムテープを止めた。
この時点で、鏡にはミイラ男が登場したのだが、これこそ「ボーイスカウトをやってた賜物だぜ」となぜか誇らしい気持ちでベッドへ。今思うとよくもまぁそんな状態でスヤスヤと寝れたなと思うのだけれど、次の朝、ミイラ男から普通の自分に戻るとこれまた驚愕の事実。

傷がぴったりくっついてる!

そう、何事もなかったかのように1本の線が顎に引かれているだけの状態になっていた。念のため、近所の病院に行き事情を説明すると、接見した医者はほぼ尊敬に近いまなざしでひと言。

「Well done!」

もちろん1ペンスも払わず病院を後にしたことはいうまでもない。


2007年8月25(土)、ニッポン解禁!
公式サイト:http://sicko.gyao.jp/


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