夏休みスペシャル/インドで映画鑑賞なのだ! (その2)

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インドで僕も驚いた!


昔、椎名誠の本に『インドでわしも考えた』というのがあったように記憶しているけれど、「インドで僕も驚いた」というのが今回の正直な感想だった。
前回も書いたとおり、インド人の規格外のスケールはタダものではなかった。それに恐れをなして当初は映画館入りを躊躇したものの、翌日、比較的空いているだろう午前中を狙って再度トライしてみた。デリーでも評判のシネコンへ行ってみると……。

「チケット完売」

ホントか? 平日の昼間だぞ!
自分の目を疑い、そして自分の耳を疑ったけれどウソじゃないらしい。と同時に「さすがは映画大国!」などと妙に感心しつつ、地元紙で見つけた次のシネコンへ。そちらにはなんとか空席があり、ようやく人気映画『Partner』の鑑賞にこぎつけた。

宿泊したホテルのスタッフから腹黒いリキシャの運転手までが一様に「イチ押し!」と勧めるこの映画。プロットは次の通りだ。
主人公であるうだつの上がらないサラリーマンが、カリスマ経営者であり美人モデルでもある女性の知己を得ようと接近を試みる。しかしそこには当然高い敷居が。ほかに手立てのない主人公は友人でもある芸能関係者を頼る。そしてその後はHappy ever after。そんな筋書きだったと思う。

「……だったと思う」だと!?

そう思うむきもあるかもしれない。そんな無責任な話でいいのか。
しかし、正直言えば時折英語が混じるものの展開の大半がヒンズー語のため、さっぱり……。
なので映画が始まってしばらくすると、無意識に頭の中で勝手なストーリーを作り始めた。そう、言うなれば観客でありながら弁士の役も演じ始めたのだ。
たとえば、そのイケテないサラリーマンがあこがれの女性にアプローチするシーン。

男:「僕は君と一緒になるためにこの世に生を受けたに違いない」
女:「私もそう思うわ。す☆て☆き☆」

なにやらロマンチック(ベタ??)な雰囲気が漂うが、実のところこれは僕の勝手な想像がなしえた業なのだ。もしかすると実際のやり取りはこうだったのかもしれない。

男:「最近のイラク情勢についてどう思う?」
女:「でも地球温暖化も無視できない問題よね」

まあ、映画のトーンから考えてそれはないと思うが、なにせコトバがさっぱりなので、その可能性がないとは言い切れない。そんななか発見したのは、次のような定理だ。

「人は内容を理解したいと真摯に願う場合、つまらないギャグにも腹を抱えて笑ってしまう」

というのもこの映画でのワンシーン。主人公があこがれの彼女に待望の対面をする直前のこと。トイレに入って身だしなみを整えるのだが、蛇口の操作を誤って全身水浸しになってしまう。そこへ彼女との出会いをセットアップしようと奔走する友人からの電話が。

友人:「All set?(準備はいいか?)」
主人公:「No. All wet!!(冗談じゃない。びしょ濡れだよ!!)」

韻を踏んだ会話がギャグのつもりなのだろうが、かなりベタなやり取りだ。しかし自分でも驚いたのは、これが理解できる数少ない会話だったため笑ってしまったのだ。しかも鼻で笑う程度ではなく、おなかの底から笑ってしまったのだ。

「人は理解に飢えるとつまらないギャグにも爆笑してしまう」

インドでまたも驚いた瞬間だった。


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