ロンリーハート (0037本目)
自分はだいじょうぶ?
先日、友人が「YouTube」にある映像のリンクをメールで送ってきた。そこに映っている主役は朝8時台のワイドショーのアナウンサー。僕自身は真偽のほどを知らないが、「カツラ」疑惑のあるというその番組のホストが、冒頭の挨拶のとき「おはようございます!」と勢いよく頭を下げると、「それ」が床に落ち、その光景に周囲がタジろぐというものだった。
のちのちネットで調べてみると「捏造」らしいのだが、以前一部スポーツ紙などで報道されたこともあるらしく、ご存知のむきもあるだろう。しかし初めてその映像を目にした僕にとっては驚き以外の何物でもなかった。
「面白いから見てみろ」
そんなぶっきらぼうなひと言とともにメールされてきたのだが、その映像に困惑しつつも笑ってしまった。と同時に思った。なぜ人は「髪あり→髪なし」のその落差に腰を抜かしてしまうのか? 以前紹介したニコラス・ケイジの『ゴーストライダー』のときもそう思ったのが(もっともこの場合「髪なし→髪あり」だったけど)、その思いをさらに強くしたのが、つい先日の試写で観たジョン・トラボルタ主演の『ロンリーハート』だった。
ロンリーハート。現代的に言えば出会い系だ。お互いにパートナーを求める男女が情報交換をする新聞の交際欄。それを悪用し結婚詐欺を重ねていた男がある女と出会うことで、単なるちんけな詐欺師から連続殺人犯へと変貌していった、実在の事件を底流に置いた映画である。
他にも『フリーダ』のサルマ・ハエックや『ソプラノズ』で一躍名を馳せたジェームズ・ガンドルフィーニがキャストに名を連ねる。
その壮々たる顔ぶれのなか、物語の中心をなす詐欺師レイ役を務めるのがジャレッド・レトだ。ジャレッド・レトと言えば、日本のお茶の間ではなじみがないかも知れないが、インディ感100%のミニシアター系映画『π』で注目されたダーレン・アロノフスキー監督の『レクイエム・フォー・ドリーム』でヘロイン中毒者役を好演したヤツだ。
当時、若手俳優のNext Big Thingとして、日本の雑誌等々にも大々的にフィーチャーされていた。
そんなジャレッド・レトだからこそ、出会い系で結婚詐欺を繰り返す男役というのはある程度納得のいく話なのだが、試写の途中なにやら当初の予想とは異なる様相を呈し始めた。というのもそのジャレッド・レトのオデコが後退しているのだ。
???
当初、その事実を消化できない自分に戸惑った。確か『レクイエム……』では長髪の美男子じゃなかったっけ?
調べてみると、この役のため前頭葉の髪を剃り上げたそうだ。そう、つまるところカツラで美男子ヅラをしつつ女を騙す野郎という設定だったのだ。でも、あまりに予想外だったため、その落差に少なからず驚いた。
と同時に、過去にもそんな落差を経験したことあったよなー、と試写の途中思いにふけった。あれって何だっけかなー。脳みそが脱線して思い出したのが、モンティ・パイソンのテリー・ギリアムが監督した『ラスベガスをやっつけろ』に主演したジョニー・デップだった。
ジョニー・デップと言えば『ラスベガス……』よりずっと以前に「今もっともセクシーな男」的ランキングで常に上位を占めるような俳優であったため、たとえその映画でドラッグ中毒のインディなジャーナリスト役を演じていたとは言え、帽子を取ると実は……という設定に腰を抜かした。そう来るかぁー、と演出に舌を巻いたりもしたものだ。
そのようにして『ロンリーハート』を見ながら『ラスベガス……』を思い出し、そしてしかし思いの先は自身に転じた試写だった。
俺は大丈夫か?
オヤジは大丈夫だけど、おじいちゃんは……。隔世遺伝ってよく聞くなあ。
11月10日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!
公式ホームページ:http://www.lonelyheart.jp/

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