草稿

間を置かず律儀に原稿を送ってくれるナオちゃんからの
メールが途絶えて、ほぼ半月が過ぎていました。
これまで一度も催促をしなかったけど、さすがに心配になったので
連絡しようと思った昨日、ようやく新しい原稿が届きました。

実は今回、僕はあるリクエストをしたのです。
9月24日にベルギーで行われるトライアル世界選手権の最終戦。
その速報を送ってくれと。

レース結果は、その日の晩に知りました。
ダーリンこと藤波貴久選手は4位。わずかな可能性に賭けた
世界チャンピオン奪還は叶わず、2006年をランキング2位で終えました。

もしダーリンがチャンピオンになれたら、
原稿はもっと早く届いたのかもしれない。
あるいは僕は、彼女に酷な要求をしたのかもしれないと思い、
だから待てるだけ待つことにしたのです。

なぜここまで遅れたのか、その理由はわかりません。
シリーズ戦を終えた直後のライダーは多忙で、
ナオちゃんもそれに付き添ったのかもしれない。

けれど――これはナオちゃんの了承なしで書きますが――
届いた原稿の最後の行のずっと下に数十行に渡る、
おそらく消去し忘れた草稿がありました。

申し訳ないことしたと思いながらも、深く胸を打たれたなあ。
たぶん彼女は何度も書き直したんでしょうね。

予想するにやっと出来上がったであろう文章は、
僕には到底書くことのできないものでした。
この世界でナオちゃんしか書けない、リアルな事実と感情に満ちている。

そして、このメディアを立ち上げてよかったと思いました。
迷いや悩みはあるけど、自慢のメディアになる確信を持てたんです。
それは僕の力ではなく、ここに参加してくれる人たちの愛情によって。

僕は鼻の奥がきゅっとなりました。ぜひ、今日の「ヴァレ・ダーリン!」を。


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