黄色い郷土愛

菜の花が「千葉県の花」だということを知っている人は、
意外に少ないみたいです。僕はずっと前から知ってました。
船橋という町に長く住んでましたから。

千葉ってね、微妙なんですよ。
なんというか、誇れることやものが少ないんです。
たとえば、闘争にまでおよんで建設された国際空港や、
あるいはアメリカ原産の巨大娯楽施設にしても、
当然のように東京という冠がついてる。
確かに、成田国際空港や浦安ディズニーランドじゃどうかなあと。
その、どうかなあと県民が思っちゃうところからして、
プライドへの問題があるんでしょう。

そうなった理由のひとつは歴史。
千葉は、江戸時代から幕府の直轄領でした。
昭和になってからは、東京のベッドタウンとして発展しました。
ようするに、首都にずっと目を向けてきたんです。
別の表現をすれば、東京にその身を捧げてきた。
それゆえ、土地に誇りを持つことを忘れてしまったのかもしれない。

けれど、ただひとつ誇れるのは、菜の花が千葉県の花であること。
春に向けていち早く花をつけ、その種は食用にもなるという、
実に健気なこの植物を千葉の象徴に決めた人を僕は尊敬します。
黄色く群れ咲く美しさには、やっぱり心が救われますよ。

僕は菜の花が好きです。
それはいまでも変わらないなあ。
ちょっとねじれた郷土愛のシンボルとしてね。


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