風信子

ヒヤシンス。和名は風 信子さん。
いや、続けて“ふうしんし”と呼ぶそうな。

小さく細い花びらがすべて内巻きになって、
そうして大きなソフトクリームみたいな形になるヒヤシンスは、
やっぱり球根を見ずにはおけません。

おいしそうなソフトクリームだけながめてたら、
それはそれでステキだけど、
その下でからみつくようにして命に執着する根の生々しい姿にこそ、
ヒヤシンスの真実があるような……。

と、おおげさ風に語りたくなるヒヤシンスが、
夜の定食屋の何の変哲もないテーブルに置いてありました。
ちゃんと球根が見える専用ポットにおさまって。
しかも割り箸入れと仲よく並んで。

こういう偶然が日々のリアルだなあと、
こういう場面に出会うとしみじみします。
昨日は嵐みたいな雨が降ったのに今日は空が澄み渡ってんだ、とか、
そういう一期一会。

この世の中になんでもないことなんてこれっぽちもないんだと、
ピンク色の風 信子さんは歌うようにかぐわしい香りを漂わせていました。


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