華麗なる妄想

もし父親が、あるいは母親が、
血のつながった実の親ではなかったら、僕はどうするんだろう?
それを知らされたのが大人になってからだとしたら、
育ててくれた恩や記憶を消し去ることはできないから、
やはり親以外の何かに思うことなんて簡単にできない。

その一方で、実の親探しをするんだろうか?
そんなことをすると育ての親に気兼ねするんだろうか?
それでも自分のルーツを知りたい欲求には抗えず、
本当の父親または母親を訪ねようとして、
その所在は育ての親が知っていて、
「どうしても行くんだね?」とか涙ながらにメモを握らされ、
そして僕はドアの外に飛び出すんだろうか?

ようやく探し当てた場所にいた父親または母親は、
なんと僕の勤務先の上司で、会社の金を横領した現場を
僕が目撃したことで立場を失い、その愛娘は3ヶ月前にコンビニの前で
不良にからまれているところを助けた縁で付き合いはじめた子で、
事実を知った二人は「オレたちは兄妹?」みたいな悲恋を嘆き、
そうかと思えば彼女には8人も兄弟がいて、
「それも全部オレの血縁?」と天を仰ぐ……。

なんて妄想を、実の父親と母親の顔を思い浮かべながら書いてたら、
やはりバカバカしくなりました。
そんな、もはやドラマの脚本でもあり得ないような現実が、
この世にはあるのかもしれない。それが自分の身に起きたとしたら……。

てなことを、万俵家の最期を見届けながら考えたりしました。
しかし鉄平さんはアレしか道がなかったんだろうか。
血の宿命に襲われたことのない僕には、むむむ、だなあ。


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