有惑

旅先で書いた原稿を読み返すと、
なんだか収拾がついてないなあとがっかりしますね。
時間や環境に制約があったりして、
十分に落ち着けないことが最大の原因なんだけど、
集中力が維持できないんです。

時間を惜しみ、移動中にも原稿を書こうと挑んだことがありました。
新幹線とか飛行機のなかとか。でも、無理ですね。
キーボードを打つ音がうるさいんじゃないかと心配になったり、
それ以上に、「移動中でも仕事をするオレってどう?」という
雑念にとらわれて、やっぱり集中できない。

でも、いわゆるツアーと呼ばれる転戦や公演を行なう
アスリートやアーティストは、どんな場所でも最高の結果を求められ、
それに応えるんですよね。繊細なパフォーマンスを支えるのは、
タフな精神と肉体だなあと感じ入ります。
体力だけじゃねぇ、と切なくなる。

そこでふと、吟遊詩人という言葉が思い浮かびました。
旅の空気を織り込む文章が書けたらなあ。
なかなかどうして、不惑と言われる年齢に達しても、
有惑そのものの毎日を過ごしておる次第であります。
父よ、母よ、すまん……。


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