妄想ドライバー
中学生のころ、なりたかったものがふたつありました。
ひとつはF1ドライバー……。
やってましたね、日本グランプリ。中継のなかで、
「30年ぶりの富士スピードウェイ開催」と紹介されてましたが、
その30年前のF1を見ることができなくて悔しがっていたのが、
中学生の僕でした。
1976年と77年。14歳と15歳。
当時、千葉県に住んでいた僕が自由にできる
乗り物と言えばチャリンコしかなく、
そして東京より向うは静岡もヨーロッパも同等にはるか彼方でした。
だから屈託もなく、F1ドライバーになりたいだなんて思えたんです。
専門誌の記事はおおむね2ヶ月遅れ。
テレビ中継すらほとんど行なわれないという情報飢餓の渦中で、
蜃気楼を見るようにして憧れていたんですね。
いまは気安く口にできません。
中学生でF1ドライバーになりたいって言ってちゃ遅いくらいです。
どうすればそうなれるかの情報が行き渡っているから、
それこそ物心ついた時点で英才教育を受けなくちゃいけない。
その反面、かなり早い時点で夢と現実の壁にぶち当たることになる。
30年前と現在。
情報量で是非を判断するなら、おそらく現代のほうが正しいんでしょう。
でも、むじゃきな憧れと妄想を屈託もなく抱くことができた30年前は、
それはそれで楽しかったですよ。
決して負け惜しみじゃなく、かなりハッピーだったなあ。
