【ゲラ】と【血尿】

最近、よく辞典を引くんです。
手書きで原稿を書いていた7年前ですでに、
純白だった表紙がすっかり黄ばんでいた、岩波の国語辞典。

それまでは、ネット上の辞書を利用していました。
みなさんご存知のように、単語を入力すればピンポイントで
その言葉に飛ぶことができるわけです。
便利ですよね。無駄な時間が省ける。不満なんてあろうはずがない。

でも、何かのきっかけで、机の端っこに追いやっていた古い辞典に
手を伸ばしてからは、昔みたいに手放せなくなった。
知りたい言葉を探してその記述を読んでいると、それよりも適した言葉が
他にあるんじゃないかと思いはじめて、またその言葉を探す。
引っ越しの片付け物みたいですね。
懐かしい写真や手紙が見つかると、それに気をとられてしまう、みたいな。

そういう展開は、少なからずネットでも起きます。
でも、範囲が狭いし、意外性も乏しい。
辞典だと、たとえば【ゲラ】を探し当てようとすると、
その見開きの右の上では【血尿】に触れているんです。
その突拍子のなさがおもしろくってねぇ。

アナログに肩入れするわけじゃなく、
そう言えば辞典って読み応えがあったんだよなあと、
その楽しさを再発見しただけの話です。

【ゲラ】と【血尿】。
わずか2ページ内でそんな単語をたぐりよせられるセンス、
いまの僕にはないなあ。


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