小さな箱

伊馬匣子さん。
それが、伊馬春部さんの娘さんの名前です。
やはり僕の場合と同じように、父上の恩師である民俗学研究者だった
折口信夫さんが命名されたそうです。

くしげこさん、と読みます。
匣には、「小さな箱」という意味があるんだって。

うん、小さな箱、というイメージにぴったりの方だった。
それは小柄だからではなく、上品で、たおやかで、
朗読の場面では張りのある声なのに普通の会話は小声で、
小さいがゆえに納められているものへの期待感が高まるような、
そんな素敵な女性でした。

匣子さんが朗読をはじめたのは、父上が亡くなり、
荷物を整理していて見つかった古い作品を手にしたときだそうです。
それをなんとか読み聞かせの方法で残すことはできないか。
当時アナウンスの勉強をはじめていた匣子さんはそんなふうに考え、
以来、朗読の勉強をしてこられた。
思えば、それが今回の出会いの遠いきっかけなんですよね。
もう24年も前のことです。

お門違いでおこがましい限りだけど、
ありがとうございます、とお礼したい気持ちになりました。

来年は伊馬春部さんの生誕100年に当たり、
ゆかりのある土地で記念行事が行なわれるそうです。
傍観者になるのはつまらないなあと思っちゃいました。
何かできたらめちゃくちゃおもしろいぞと、
自然とふつふつしてきています。

『コケコッコ百貨店』。傍観できるタイトルじゃないんだよなあ。


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