生き馬の目
乗馬倶楽部に撮影に行ったので、
前から気になっていたことをスタッフの方にたずねました。
馬ってのは、人を乗せるのをどう思っているのかと。
「どうもこうも思っちゃいないんです」
メモを取らない立ち話だったので、うかつなことは書けないけど、
要約するとそういう答えでした。
「だって、背中に重いものを乗せられて気持ちいいと感じる
生き物なんているはずがないでしょ?」
やっぱり本当はイヤなんだよなあ。
「イヤだってこと、いちいち覚えちゃいないんです」
あ、そうか。いちいち覚えちゃいないから、また乗せられるんだ。
「馬って、そういう意味じゃあんまり頭がよくないんです……」
で、ここからは僕の個人的解釈ですが、たぶん馬は、
人間に蹂躙されるようになって、
そういう処世術を身につけたんじゃないかと思うんです。
実は神経質で、飼葉の与えられ方ひとつで命に関わるストレスを
感じてしまう馬は、つまりバカにならないと生き続けられなかった。
そんな悲しいサガを背負ったから、
あんな切ない瞳で僕らを見つめるんだと……。なんてね。
でも、まさに生き馬の目を抜くような、ずる賢い生き方をしなかった
馬の瞳は本当に悲しそうで、愛しくもあるのです。
近くで見るとデカいしね。
