いたらない男
某社から届いた封書には、名刺が2枚、入っていました。
1枚は、その会社の誰もが使っているデザインのもの。
もう1枚は、シンプルというより地味な、けれど“取締役”の文字が
小さいながらも重く強い印象を残すもの。
少し前のミーティングの席ではじめて顔を合わせたとき、
名刺の持ち合わせがなかったからと、わざわざ送ってくれたのです。
その封書を最初に見たとき、請求書か支払調書かと思っただけに、
恐縮も自己嫌悪も加速度的に膨張してしまいました。さもしい……。
いい年して本当に情けないけど、僕は挨拶が下手くそです。
誰かに会ったとき、「や~」だの「お~」だのと、
フランクを装って照れ隠しするような声は挙げられても、
しっかりとした大人の対応ができません。特に名刺の類はそう。
差し出すタイミングというものが未だによくわからないでいる。
言うまでもなく、名刺の持ち合わせがない場合、
後でわざわざ封書で送るなんて行為に思いがめぐることもない。
たぶんそういう状態を、礼を欠く、というんでしょう。
礼節に欠ける男。そう書くと、痛みが倍化するなあ。
年末そして年始に向って、
時候と挨拶の距離が背中合わせになっていきますね。
礼節に関して深く考えるにはいい時期です。
言うまでもなく、いたらない僕に限っての話ですけど。
