歌はねぇ

いま僕をもっとも悩ませているのは、歌です。
次の次の日曜日に、新郎新婦とも知っている結婚披露宴があって、
彼らがそこで「歌え」というんですね。しかも「ギターを弾いて」と。
できることなら、大人しくひそやかに心から無言でお祝いしたい。
食事も楽しみながら。

でもね、頼まれると断われない性質だし、
本音の部分では、そういうのもアリかなあと思うんだけど、
歌はねぇ。歌はなぁ。

本質的には好きですよ。クルマのなかではシャウトしてますから。
家でもギターにあわせて歌うことはある。
でも、人様に聞かせるのはねぇ。
自分の声が好きじゃないんです。特に歌声はそう。
ぜんぜんステキに響かないから。

そのくせ、ちゃんと歌いたいとか無理に無駄を掛け合わせた
願望を抱いたりもして、いやまったくジレンマなんですよ。

まぁさ、つまり余興だから、そんなにこだわらなくたっていいとは
わかってるんです。主役はひな壇の二人だし、
だから誰も聞いちゃいないだろうし。
なのに、もう気になってしかたない。

こういうときに自分ってヤツが露呈しますね。
苦手なことに直面したときの肝の据わらなさは、
あっぱれなくらい情けないものがある。
しかもまだ曲を決めきっていない。

祝いの席が憂鬱なんて実に不謹慎で罰当たりだけど、
悩んでます。悩まされてます。歌はねぇ……。


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