Uluru 1

少なくとも僕にとってそれは、この人生における不思議な体験のひとつです。最初は小学6年生のときでした。

授業の一環か何かで図書室に行き、何気なく手にした本に載っていた写真から目が離せなくなりました。オーストラリアのエアーズロック。巨大な赤い一枚岩の全景。
金縛りのようでした。でも、なぜそれに引きつけられたのか、理由なんてまるでわかりません。ただ、自分のなかに沸き起こった、そこに行きたい、この目で見たいという衝動だけは確実に感じ取れました。

何かあるんだろうか? これを呼ばれているというのだろうか? それ以降、何かの機会でその全景に触れるたび、誰にも、もちろん自らにも説明できない戸惑い、あるいはささやかな期待を抱いてきました。時折、本当に時々のことですけれど。

そして7年前、いくつかの幸運が重なってオーストラリアへ行くチャンスがめぐってきたとき、もちろん12歳の“奇妙な出会い”を思い出しました。
でも、あれからおよそ30年が過ぎているのです。縁というにはさすがに希薄だろうと、もろ手をあげて観念するだけの冷静さが、さすがの僕にもすでに備わっていました。

目の当たりにした赤い岩は、静寂のなかで横たわっていました。鳥のさえずりだけが響き渡る、おだやかな天気でした。
それも不思議といえばそうなのですが、身が震えるような感動を覚えることもなく、ああ来たんだなと、むしろすっと落ち着くような気分でその場に立ったとき、それは耳の奥に訪れました。不意に、でも優しく、最初は錯覚のように頼りなく……。(明日に続く)


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