モンスターQ

高橋尚子という人、要するにモンスターだったわけです。
シドニー・オリンピックで金メダルをとったあたり、
それがランナーとしての彼女の絶頂期だったんだろうけど、
そのころの記者会見とかで話している様子を見て、
なんかよくわからなかったんです。

会話自体は明瞭なんですよ。応対も適切だし、筋道も通ってる。
だけど、ちょっとトークがうますぎて、そんな陸上選手いないだろ、
って意地悪な僕は思っていたのでした。

でも結局というか、つまるところ高橋尚子って人は
人目に触れるたび常識を覆していったんです。
なにしろ彼女のマラソン自体、ペースなんかお構いなしで
どこからでも全力で走れるらしく、
アスリートとしてもばくばく常識を食いちぎっていった。

けれどおそらくQちゃん自身は、
それが非常識だとは感じていないんでしょう。
むしろ自分ほどの常識人間はいないと思っているかもしれない。

したいことをただ精いっぱいやって、やり尽くした実感が得られたら、
ちゃんとお礼して持ち場を去る。確かに理路整然。
寸分たがわず正解。なんだけど、僕らの想像できる答えから
ちょっとだけずれてる、ような感じ。

だってね、一昨日の名古屋国際女子マラソンに一般ランナーとして
参加して、スタートからゴールまで沿道に手を振り続けていたのに
3時間切っちゃうんだよ。しかも29位だって。
体の線はずいぶんやわらかくなってたけど、
やっぱり彼女は最後までモンスターだったなあ。


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