そうして10年

今月のいつだったっけ?
それすら思い出せないくらい遠い昔になったのかもしれません。
いずれにせよ10年前の6月。
僕はそれまで勤めていた会社を辞めてフリーランスになりました。

直訳すれば自由契約。プロスポーツの世界ではチームからの放出と
同義みたいなところがありますけど、
僕らの世界では独立と言ったほうが近いかなあ。
要するに、特定の組織や団体に属さず、
個別の依頼に個人で応じる職業形式です。

単なるスタイルです。だからフリーランスは目的じゃなく、手段でした。
ひとりっきりで何かをしたかったわけではなく、
より多くの人とそれまでなしえなかったことをしたかった。
そのためには、帰属を取っ払うほうが身動きが軽くなるんです。
そういう期待ですね、フリーランスになったのは。

むしろ不自由ですよ、この立場は。
最終的な決定権がないから、誰かの意向に沿わないものであれば
シャボン玉をつぶすより簡単に却下されます。
その一方、誰かの意向に沿うだけでも飽きられる。矛盾してるでしょう?
それは覚悟の上で、そして実際にフリーランスを経験してみて
強く感じているのは、個人の職能をいかに高めるか、その一点です。
資格試験なんてないですからね。たとえばあなたが今日この時点で
「フリーのライターです」と宣言すれば、そうなれちゃう。いや本当に。
それはとても怖いと思うし、だからこそ責任も痛感する。

最近はあまり耳にしないけど、
「オレはどうせ世間の歯車に過ぎないだ」なんて自暴自棄気味な
セリフがありますね。でも僕は、与えられた役回りとしての歯車にすら
なれなかったらどうしようという恐怖を抱えています。
歯車のスペアなんてどこにでもあるしね。

フリーランスで得た教訓は、「不安定ではあるけれど、不安になるな」
そうして10年やってきました。ひとまず明日から11年目です。


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