もったいない旅

「どんな有名人に会ったことがあるの?」
という質問を時々頂戴します。これね、少し戸惑うんです。
たずねた人の期待に応えられそうな名前を挙げることもできるけれど、
だからと言って得意げに反射的に答えるのは、
なんかちょっと気が引けるんですよ。

それはたぶん、僕が人に話を聞く上で保とうとするスタンスが、
有名や無名に関係ないからです。
それに、有名だから逸話が濃くて無名はその逆だなんて
思い込みを持ちたくないし、あるいは、
誰もが耳を傾けそうな有名人なら
誰も知らない話を聞き出してやろうとか、
誰も知らない人の素敵な話を掘り起こして
誰もの耳を傾けさせてやるとか、
そういう意欲が聞き手の立ち位置をつくっていくんです。

でね、街も同じじゃないかと思うんです。
とは言え「どんな観光地に行ったことがあるの?」と聞かれても
観光地めぐりとは違うドサ回りをやっているので答えようがないけれど、
たとえばガイドブックに紹介されない小さな町にも、
よその場所にはない景観や成り立ちや暮らしぶりがきっとあるはずです。
それを見ずして、「どこにでもある町」なんて言っちゃ失礼ですよね。
「どこにでもあるような」という形容はアリかもしれないけど。

夕べは、滋賀県の堅田という街に泊まりました。
はじめての場所だったのでどんなところか知りたかったけど、
着いたのが夜で出発が早朝。もったいないでしょう?
そんな程度の接触で「堅田に行った」なんて言うのは
やっぱり失礼じゃないかと、本当にいつもそう思ってんですよね。


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