Okage Sama De

届いた資料のなかに「社史DVD」というのが同封されていて、
添えられた手紙には「ご笑納ください」と書かれてありました。
そうかウハハ、なんて本当に笑ったりはしませんね。
けれど、実にナイスな表現だと感心しちゃいました。

いや、日本人ならそうしたへりくだりにいまさら感心している
場合じゃないかもしれないけれど、慣用句として使われる機会は
どんどん減っている。
現に僕も、何かを贈るときに「つまらないものですが」ではなく、
「よかったら……」と言います。
それはやっぱり「つまらないものを用意したわけじゃない」
という気持ちが先に立つからなんですね。

でも、昔ながらの挨拶の字面にこだわるのは、
もはや上手にへりくだれなくなった証拠かもしれません。

ハワイの日系人の間では、そうした昔ながらの慣用句が
数多く残っているそうです。その代表が、「おかげさまで」。
英語では「I am what I am because of you」と訳されるみたいですが
ホノルルの日本文化センターには『Okage Sama De Gallery』という
常設展示があるくらい、「おかげさまで」が生きているそうな。

日本語を使わない三世や四世の時代になり、さすがにかつてほどの
普及率はないだろうけど、しかし、故郷を遠く離れた人々が農園での
辛い仕事をこなしながら、それでも「おかげさまで」と口にする姿を
想像すると、ぎゅぎゅっと胸が締まります。日本人として。

ちょっと意識的に使ってみようかな。
「こんな原稿ですがご笑納ください」とかね。
本当に笑われたら、ちと痛いかも……。


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