家族DNA

父がはじめた仕事を3人の息子が受け継ぎ、母も嫁もみんな共に働く、
という家族に会いに行きました。核家族化という言葉すら
消滅しかかった今日において、それは理想の家族の姿かもしれない。
家族旅行と社員旅行の区別がないそうです。
僕ら取材チームのために80歳の父が久しぶりに火をくべた様子を、
心配そうに見守る息子たちの様子が印象的でした。

新しい首相が口にした「サラリーマンの息子」という言葉に、
さわさわっと胸をなでられた人は少なくないでしょう。
僕もね、そうなんです。正確には、そう言えばそうだったと、
風が吹き抜けてからその空気の移動に気付いた感じ。

サラリーマンの息子は、およそ父の働き振りを知りません。
だから、職業として職能として、父から何を受け継げばいいだろう、
なんて考えてみたんです。職人一家のその家族の会話を聞きながら。
いや、家業がある家に生まれた子供にもそれなりの
苦悩や苦労があるんだと思います。

ただ、友だちのせんべい屋の倅も、それから昨日会った息子たちも、
やはり働く父の姿をカッコいいと思いながら育ってきた。
そこはやはり、サラリーマンの息子とは異なった職業観を持つはず。
あれ、本当に書きたいことから遠ざかっているような気がする……。

結局、僕が家族を考えるときは父がその中心にいるみたいです。
父親はサラリーマンになる前、物書きでした。
そして父親は、つぶやきもぼやきも含めて、僕に対して
同じ道へ進むことを一切示唆しなかった。なのに僕は……、という話。

DNAの十字架なんだろうか。それが重いか軽いかを決めるのは
他の誰でもなく僕なんだろうと思っただけです。
その家族の町がある、次はいつ訪れるかわからない駅舎を見ながら。


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